君の手を。
2003年7月31日 君の手をそっと、繋いであげればよかったと思う。
ずっとなんてないけど
永久(とわ)なんてないけど
君を好きで存ることだけでいい。
不安定な空、夕暮れの赤・・・
続いてゆく明るい道を
ただずっと歩く。
ずっとなんてないけど
永久(とわ)なんてないけど
君を好きで存ることだけでいい。
不安定な空、夕暮れの赤・・・
続いてゆく明るい道を
ただずっと歩く。
〜snow girl/6〜
2003年7月25日そして一週間後の、カードを見ながら歩く尾上陽彦の“時”に戻る。
陽彦は回想を終えると再びブレザーの裏ポケットにカードを戻す。
あの一件で、ニュースにでもなるかと思っていたがなんの変化も無く日々は過ぎた。・・まあ少しではあるが変わったといえば変わった・・というくらいだ。
一変した!
なんてことはない。慣れてしまえば、“非”現実なんてこんなモノなのかなあ。なんて思った。
ただ
新しく変わった通学路は、いつのまにか修復され、境界線のように新しく塗ってある部分はうっすら色が違う。
そんなことを考えながら、高1の春を噛み締めていた。それはやんわりとした、非現実が具現化した強烈な感覚を止めるための無意識の“抵抗”だった。
「おはよう」
突然、後ろで声がした。少し驚いて後ろを見る。
長い黒髪で、後ろで髪結いをしている陽彦よりも少し背丈が高い少女だった。ブレザー調のスカート、陽彦と同じ学校、女生徒の学生服だ。
「おはよう」
陽彦は、少し?引いた?感じであいさつをした。
「今日は暑いね。弓道の朝練で、部活道具が重いよ」
少女は垢抜けた笑顔と言葉で返した。少女は
、陽彦の倍の汗を学生服に流していた。少しではあるが、豊な彼女の胸・・透けてブラがうっすら見えている。
それに気づいて、陽彦は顔を背けた。恥ずかしさが多少残るが、話をしようと男の性をなんとか抑制する。
「あ、朝練いつもだよね?まだ春なのに初夏みたいに暑いし」
陽彦は少し照れながら、少女と話す。
彼女の名は、雹花鈴[ひょうかりん]唯一、同級生で疎開しなかった友人である。彼女は今一人暮らしをして、バイトに励んでいた。家族はおらず、ある組織に在籍している。
それは
“ALTER”
還るという意味。
続く
戦後の日本。
2003年7月24日何人の人が死んだのだろう?
何人の人が過ちを犯したのだろう?
笑ってた。皆すごく
嘆いてた。皆涙を流して・・
儚かった、夢と希望。
ありすぎた・・モノと人を見下す魔の力・・人間の欲望。
形で示してほしいとごねる君。
矛盾した詭弁たちが、正しさを主張してる。
笑えなかった友人・・すまない
僕を虐めた人たちに祝福を。
そんな自分に、戦争の真っ只中の自分に
?ありがとう?
君のために。
2003年7月23日 君が救われるのなら、嘘をつこう。
君が死なずに済むなら嘘をつこう。
僕が、自分の命と心を渡せば君は救われる。
あなたのために。
あなたが死ぬのなら、私も嘘をつこう。
あなたが振り向かないのなら嘘をつこう。
あなたと結ばれないなら・・
あなたと一緒に死ぬほうがマシだから。
君が死なずに済むなら嘘をつこう。
僕が、自分の命と心を渡せば君は救われる。
あなたのために。
あなたが死ぬのなら、私も嘘をつこう。
あなたが振り向かないのなら嘘をつこう。
あなたと結ばれないなら・・
あなたと一緒に死ぬほうがマシだから。
その一突きで。
2003年7月22日 独りの男を殺しました。喜ぶ人がたくさんいました。その男は、重罪を犯した人間です。
酷刑を受け、野垂れ死にされました。
いい気味だと罵倒されました。
これで平穏と幸せがくると皆が歓喜しました。
泣いている人が独りいました。
たくさんの喜びの中、一人地べたを叩いていました。
その男を好きでいた女性です。
1つ消した分、多くの幸せが生まれ
1つ殺した分、1つの心が失われることを考えなければいけない日だと感じた日でした。
酷刑を受け、野垂れ死にされました。
いい気味だと罵倒されました。
これで平穏と幸せがくると皆が歓喜しました。
泣いている人が独りいました。
たくさんの喜びの中、一人地べたを叩いていました。
その男を好きでいた女性です。
1つ消した分、多くの幸せが生まれ
1つ殺した分、1つの心が失われることを考えなければいけない日だと感じた日でした。
[ある少女と少年の会話]
2003年7月21日「君が・・好きだ」
沈黙
「・・」
沈黙
「ごめんなさい」
心が少し、引き裂かれる少年。
「どうして?」 質問
「・・・」沈黙そして
「私には、好きな人がいるの」
「誰?」自分には解らない・・答えても理解できない名前を聞く。
「フユキ」回答
「フユキ?」
「そう、今私たちの敵になった人」
「どうして?」疑問
「その人は、ある日壊れてしまった」言葉
「その人は、望んだものを手に入れられなかった。だからある日壊れ、そして歪曲してしまった」
会話の流れに呑まれ、少しづつ嫉妬へと向かう少年。
(何故、手に入らないのか?)素朴で、くだらない質問を自分に投げかける。
「彼は、ただ思ったの。ああ、手に入らないのなら・・すべてを壊してしまおうと。手に入らないモノを創りあげた・・この世界を」
彼女の首を絞める。
「そう、今のあなたのように」疑問と定義
「う・・っく」涙と嫉妬を混ぜ、憎しみを育む少年。そして力強く、手に力を篭める。
続終
沈黙
「・・」
沈黙
「ごめんなさい」
心が少し、引き裂かれる少年。
「どうして?」 質問
「・・・」沈黙そして
「私には、好きな人がいるの」
「誰?」自分には解らない・・答えても理解できない名前を聞く。
「フユキ」回答
「フユキ?」
「そう、今私たちの敵になった人」
「どうして?」疑問
「その人は、ある日壊れてしまった」言葉
「その人は、望んだものを手に入れられなかった。だからある日壊れ、そして歪曲してしまった」
会話の流れに呑まれ、少しづつ嫉妬へと向かう少年。
(何故、手に入らないのか?)素朴で、くだらない質問を自分に投げかける。
「彼は、ただ思ったの。ああ、手に入らないのなら・・すべてを壊してしまおうと。手に入らないモノを創りあげた・・この世界を」
彼女の首を絞める。
「そう、今のあなたのように」疑問と定義
「う・・っく」涙と嫉妬を混ぜ、憎しみを育む少年。そして力強く、手に力を篭める。
続終
〜snow girl/5〜
2003年7月16日 ≪名前は?≫
僕は気を失って、どのくらい経ったのか覚えてはいない。ただ気づくと、立方体の閉鎖間を感じる・・部屋、に存た。全体に虚が漂っている、グレー調のカラーリングをした部屋。その部屋の中心に、シャフト・チェアーがありそこに坐らされていた。
服はそのまま、さっき火傷を負った左腕はどうやら治療をうけたらしい。包帯が巻かれていた。
≪名前は?≫
何処からか、スピーカーごしの声が聞こえた。
≪質問に答えなさい≫
少し、声色が変わる。陽彦は、とりあえず口を開く。
「尾上陽彦」
≪出生は?≫
「熊本市、新合併風致区[風鈴]」
≪何故、あの場所に存た?≫
淡々と質問は行われる。
「学校に・・あの、なんで僕は此処に?此処何処ですか?」
少し、不安が洩れだす。
≪・・・質問に答えたら、自由になれます≫
「・・・・」
その言葉を信じ、質問を待つ少年。
≪何故、あの場所に?≫
「高校に行こうと」
≪高校の名前は?≫
「五輪響高等学校」
≪私立ですか?≫
「公立です」
事細かな質問に、やはり不信感がつのる。
「あの、まだですか?」
≪・・・・≫
「質問を続けますか?」
オペレーターは後ろにいる、杉田と刺繍を縫ってある男に聞いた。
「もういいだろう。素性は後で聞けばいい」
だらけた口調で云った。
「ただいま」
学校も行かず、あの出来事がどうなったのか僕は知らないままあの部屋から無事に帰ってきた。
多分、僕の素性はまるわからで監視でもされてるんだろうなあ、なんて軽い気持ちで考えていた。
続く
僕は気を失って、どのくらい経ったのか覚えてはいない。ただ気づくと、立方体の閉鎖間を感じる・・部屋、に存た。全体に虚が漂っている、グレー調のカラーリングをした部屋。その部屋の中心に、シャフト・チェアーがありそこに坐らされていた。
服はそのまま、さっき火傷を負った左腕はどうやら治療をうけたらしい。包帯が巻かれていた。
≪名前は?≫
何処からか、スピーカーごしの声が聞こえた。
≪質問に答えなさい≫
少し、声色が変わる。陽彦は、とりあえず口を開く。
「尾上陽彦」
≪出生は?≫
「熊本市、新合併風致区[風鈴]」
≪何故、あの場所に存た?≫
淡々と質問は行われる。
「学校に・・あの、なんで僕は此処に?此処何処ですか?」
少し、不安が洩れだす。
≪・・・質問に答えたら、自由になれます≫
「・・・・」
その言葉を信じ、質問を待つ少年。
≪何故、あの場所に?≫
「高校に行こうと」
≪高校の名前は?≫
「五輪響高等学校」
≪私立ですか?≫
「公立です」
事細かな質問に、やはり不信感がつのる。
「あの、まだですか?」
≪・・・・≫
「質問を続けますか?」
オペレーターは後ろにいる、杉田と刺繍を縫ってある男に聞いた。
「もういいだろう。素性は後で聞けばいい」
だらけた口調で云った。
「ただいま」
学校も行かず、あの出来事がどうなったのか僕は知らないままあの部屋から無事に帰ってきた。
多分、僕の素性はまるわからで監視でもされてるんだろうなあ、なんて軽い気持ちで考えていた。
続く
〜snow girl/4〜
2003年7月14日 それから一週間後・・・
「じゃあ行ってくるから」
少年は玄関で靴を履きながら、家族にあいさつをしていた。
「いってらっしゃい。今日も部活なの?」
「うん、まあ。とにかく遅くなるから」
少年は母親に云って、ドアを開けた。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
少年は歩きながら高校のブレザーの懐の裏地ポケットに手を差し込んだ。
「・・・」
白いカードで、少年の写真と黒の文字が、必要最低限の情報を現していた。
“尾上陽彦”
認識番号4786539
そう打ってあった。他には何も打っていない。
が、赤外線等の特殊な光線を照射すると文字が現れるのを尾上陽彦は知っている。
「学校が終わったら、直に行かなきゃならいんだっけか・・」
陽彦は、あの遭遇があった場所を通学路にしていた。まだ工事中で、塗ったあとがまだ乾いていないことを色が表している。
この一週間、僕のなんの変化も無い日々が一変したかもしれない・・・陽彦はそんなことを思うのだった。
「じゃあ行ってくるから」
少年は玄関で靴を履きながら、家族にあいさつをしていた。
「いってらっしゃい。今日も部活なの?」
「うん、まあ。とにかく遅くなるから」
少年は母親に云って、ドアを開けた。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
少年は歩きながら高校のブレザーの懐の裏地ポケットに手を差し込んだ。
「・・・」
白いカードで、少年の写真と黒の文字が、必要最低限の情報を現していた。
“尾上陽彦”
認識番号4786539
そう打ってあった。他には何も打っていない。
が、赤外線等の特殊な光線を照射すると文字が現れるのを尾上陽彦は知っている。
「学校が終わったら、直に行かなきゃならいんだっけか・・」
陽彦は、あの遭遇があった場所を通学路にしていた。まだ工事中で、塗ったあとがまだ乾いていないことを色が表している。
この一週間、僕のなんの変化も無い日々が一変したかもしれない・・・陽彦はそんなことを思うのだった。
〜snow girl/外伝〜
2003年7月13日 [ある少年と少女の会話]
「君が・・好きだ」
沈黙
「・・」
沈黙
「ごめんなさい」
心が少し、引き裂かれる少年。
「どうして?」 質問
「・・・」沈黙そして
「私には、好きな人がいるの」
「誰?」自分には解らない・・答えても理解できない名前を聞く。
「フユキ」回答
「フユキ?」
「そう、今私たちの敵になった人」
「どうして?」疑問
「その人は、ある日壊れてしまった」言葉
「その人は、望んだものを手に入れられなかった。だからある日壊れ、そして歪曲してしまった」
会話の流れに呑まれ、少しづつ嫉妬へと向かう少年。
(何故、手に入らないのか?)素朴で、くだらない質問を自分に投げかける。
「彼は、ただ思ったの。ああ、手に入らないのなら・・すべてを壊してしまおうと。手に入らないモノを創りあげた・・この世界を」
彼女の首を絞める。
「そう、今のあなたのように」疑問と定義
「う・・っく」涙と嫉妬を混ぜ、憎しみを育む少年。そして力強く、手に力を篭める。
続終
「君が・・好きだ」
沈黙
「・・」
沈黙
「ごめんなさい」
心が少し、引き裂かれる少年。
「どうして?」 質問
「・・・」沈黙そして
「私には、好きな人がいるの」
「誰?」自分には解らない・・答えても理解できない名前を聞く。
「フユキ」回答
「フユキ?」
「そう、今私たちの敵になった人」
「どうして?」疑問
「その人は、ある日壊れてしまった」言葉
「その人は、望んだものを手に入れられなかった。だからある日壊れ、そして歪曲してしまった」
会話の流れに呑まれ、少しづつ嫉妬へと向かう少年。
(何故、手に入らないのか?)素朴で、くだらない質問を自分に投げかける。
「彼は、ただ思ったの。ああ、手に入らないのなら・・すべてを壊してしまおうと。手に入らないモノを創りあげた・・この世界を」
彼女の首を絞める。
「そう、今のあなたのように」疑問と定義
「う・・っく」涙と嫉妬を混ぜ、憎しみを育む少年。そして力強く、手に力を篭める。
続終
〜snow girl(鉄、改名)〜3
2003年7月11日 少年はヘタレこみ、うわずった声で火傷を負った右腕を胸に押し当てていた。
「ぐ・・痛・・・」
少年の横、通学道路のコンクリートを抉った場所はクレーターのようになっていた。その場所にはまだ、甲虫に似た姿の物体が冷気とともにバイザーから煙を吐いていた。
≪うう・・はあ、はあ・・苦しい≫
少年には聞こえていない、バイザーの中から少女のような声がしていた。
≪杉田だ。情報状況報告≫
別の声が、その物体からした。
≪報・・告。敵NS・・[CHEZRGUN(以下C)]と遭・・遇
深呼吸
・・これに対処したものの、新型の鈍重な動き並びにインター・フェイス、OSの作動限界により機能不全を起こしました。[パラベルム]並びに[特殊冷却剤 ニュームナライザー]を使用したにも係わらず暴走を食い止められませんでした・・・≫
吐血
≪・・そうか。太陽ヒナタ、現時刻を持ってお前を回収する。BJ[獅子]を破棄、自爆させる。お前は、ポータルを展開したのち即急に転進し・・≫
≪あの・・≫
≪?。なんだ≫
≪私のポータブル・アナゴリズムがアドバンスド・デバイスを確認しました・・。今、先ほど私を助けようとした民間人のようです・・≫
マイク越しの男の声が、一瞬止まる。
≪・・それはバグ、不全時における不確定情報ではないな?≫
二度目の深呼吸、男の声は淡々としていた。
≪ハイ・・≫
≪そうか・・・。その民間人は、どうしたたんだ?≫
ゆっくりと、少女の声の主が開いたバイザー・ハッチから姿を現した。
白い透き通るような肌と、ショートの白髪。眼は黒系の灰色をしていて華奢な体つきをしている。右耳に、手をあてがいイヤーマイクに集中していた。
服装はフィットしたゴム製のシリコンのBJを纏っていた。
絶対零度の冷気を帯びながら、日光にその体を這わせる・・
「倒れています。ハッチを開けたときの圧縮した冷気で凍傷火傷を負ったようです・・致命傷にはなっておらず生きていると思われます」
≪そうか・・。周りには、あ〜民間人はいるか?≫
辺りを見回す少女。
「いえ・・避難した模様です。予備報告、NS[C]は、情報をバック・アップ中なのかフリーズ状態のようです」
≪・・・。おそらく、落下時のバグだろう。目的を変更、アドバンスド・デバイスの可能性を持った民間人を救出、ポータルで一時撤退だ≫
「了解しました。ポータルの、マーカー開きます」
続く
「ぐ・・痛・・・」
少年の横、通学道路のコンクリートを抉った場所はクレーターのようになっていた。その場所にはまだ、甲虫に似た姿の物体が冷気とともにバイザーから煙を吐いていた。
≪うう・・はあ、はあ・・苦しい≫
少年には聞こえていない、バイザーの中から少女のような声がしていた。
≪杉田だ。情報状況報告≫
別の声が、その物体からした。
≪報・・告。敵NS・・[CHEZRGUN(以下C)]と遭・・遇
深呼吸
・・これに対処したものの、新型の鈍重な動き並びにインター・フェイス、OSの作動限界により機能不全を起こしました。[パラベルム]並びに[特殊冷却剤 ニュームナライザー]を使用したにも係わらず暴走を食い止められませんでした・・・≫
吐血
≪・・そうか。太陽ヒナタ、現時刻を持ってお前を回収する。BJ[獅子]を破棄、自爆させる。お前は、ポータルを展開したのち即急に転進し・・≫
≪あの・・≫
≪?。なんだ≫
≪私のポータブル・アナゴリズムがアドバンスド・デバイスを確認しました・・。今、先ほど私を助けようとした民間人のようです・・≫
マイク越しの男の声が、一瞬止まる。
≪・・それはバグ、不全時における不確定情報ではないな?≫
二度目の深呼吸、男の声は淡々としていた。
≪ハイ・・≫
≪そうか・・・。その民間人は、どうしたたんだ?≫
ゆっくりと、少女の声の主が開いたバイザー・ハッチから姿を現した。
白い透き通るような肌と、ショートの白髪。眼は黒系の灰色をしていて華奢な体つきをしている。右耳に、手をあてがいイヤーマイクに集中していた。
服装はフィットしたゴム製のシリコンのBJを纏っていた。
絶対零度の冷気を帯びながら、日光にその体を這わせる・・
「倒れています。ハッチを開けたときの圧縮した冷気で凍傷火傷を負ったようです・・致命傷にはなっておらず生きていると思われます」
≪そうか・・。周りには、あ〜民間人はいるか?≫
辺りを見回す少女。
「いえ・・避難した模様です。予備報告、NS[C]は、情報をバック・アップ中なのかフリーズ状態のようです」
≪・・・。おそらく、落下時のバグだろう。目的を変更、アドバンスド・デバイスの可能性を持った民間人を救出、ポータルで一時撤退だ≫
「了解しました。ポータルの、マーカー開きます」
続く
病院日記・壱
2003年7月6日 僕が中学2年の時、入院していた。不眠症で、疲れていたせいか一日病室のベットで泥のように眠っていたことを覚えている。それから12錠もの薬を服用していた。
一度、その副作用で筋肉が強張り、首が90度左横に曲がり硬直したまま動けないことがあった。
死にたい、と安易に思った。弱いな、自分。僕のいた病室・・全部の病室の窓に鉄格子が付いていた。
不思議な閉鎖間を感じていたような気がする。
いつから、僕は変わっていったのだろ。
ふと、そんなことを考える。
[生きる]
生きるって辛い
死ぬって辛い
でも、消えるって哀しい。
笑いながら、ぼんやり空を見上げ喜べれたらうれしい。
[〜鉄〜・2]
「なん・・だ?」
少年は、硬直していた。
さっきの悲鳴は、登校中の学生たちでその後ろに奇怪な物体が2体鬩ぎあうように・・・
「戦ってるの・・かな?アレ・・」
逃げる学生、立ち止まって動けない少年。
数多の悲鳴が響き渡る。
少年は、恐怖するも動じはしなかった。腰が抜けたわけではなくただ、?観て?いたのだった。
・・その2体は、姿かたちは違う。1つの物体は人型で、背は少年ぐらい。甲虫のような突起が頭の額辺りにあり、アーマーのようなモノを纏っていた。
そしてもう一方は、機械的でまるで道化のような動きで形は蟹のような骨格をして二本足で歩いていた・・・。
そのうち、甲虫の方がこちらに?吹っ飛ばされて?きた。
「うわっ!」
思わず、よろけながらも避ける少年。
≪きゃっ・・≫
「え?」
今、女の子の声が・・
空耳かと疑う少年は、何処から聞こえてきたのか辺りを見渡す。まさか、学生が?
そう思うが、もう既に少年一人になっていた。逃げ遅れたことに気づく少年。
「・・・」
少年は、逃げようとして吹っ飛ばされた方の物体を見ながら逃げようとする。
≪助・・けて・・≫
立ち止まる。
「今の・・」
幻聴かと疑って、少年はふと甲虫の物体を見る。
(まさか・・)
≪助け・・て・≫
!!
少年は、無我夢中で物体との距離を縮めた。
「大丈夫ですか?!」
少年は、どうしていいのか解らず困惑してあたふたするばかりだった。顔らしき部分にはスモーク・シールドのかかったバイザーがあった。
≪お願・・い・・ハッチを開けて・・≫
「ハッチ?あっと・・どうすれば・・」
≪バイザーの・・、横・・の出っ張・・ガフっ・・ったスイッチを・・・≫
それらしきモノを発見する少年。
押す。
バシュっ!!!
その音とともに、冷気が排出される。それが当たり、右腕を凍傷焼けどする少年。
「痛っ!!」
少年は、そこで初めてへタレこんだ。
続く
一度、その副作用で筋肉が強張り、首が90度左横に曲がり硬直したまま動けないことがあった。
死にたい、と安易に思った。弱いな、自分。僕のいた病室・・全部の病室の窓に鉄格子が付いていた。
不思議な閉鎖間を感じていたような気がする。
いつから、僕は変わっていったのだろ。
ふと、そんなことを考える。
[生きる]
生きるって辛い
死ぬって辛い
でも、消えるって哀しい。
笑いながら、ぼんやり空を見上げ喜べれたらうれしい。
[〜鉄〜・2]
「なん・・だ?」
少年は、硬直していた。
さっきの悲鳴は、登校中の学生たちでその後ろに奇怪な物体が2体鬩ぎあうように・・・
「戦ってるの・・かな?アレ・・」
逃げる学生、立ち止まって動けない少年。
数多の悲鳴が響き渡る。
少年は、恐怖するも動じはしなかった。腰が抜けたわけではなくただ、?観て?いたのだった。
・・その2体は、姿かたちは違う。1つの物体は人型で、背は少年ぐらい。甲虫のような突起が頭の額辺りにあり、アーマーのようなモノを纏っていた。
そしてもう一方は、機械的でまるで道化のような動きで形は蟹のような骨格をして二本足で歩いていた・・・。
そのうち、甲虫の方がこちらに?吹っ飛ばされて?きた。
「うわっ!」
思わず、よろけながらも避ける少年。
≪きゃっ・・≫
「え?」
今、女の子の声が・・
空耳かと疑う少年は、何処から聞こえてきたのか辺りを見渡す。まさか、学生が?
そう思うが、もう既に少年一人になっていた。逃げ遅れたことに気づく少年。
「・・・」
少年は、逃げようとして吹っ飛ばされた方の物体を見ながら逃げようとする。
≪助・・けて・・≫
立ち止まる。
「今の・・」
幻聴かと疑って、少年はふと甲虫の物体を見る。
(まさか・・)
≪助け・・て・≫
!!
少年は、無我夢中で物体との距離を縮めた。
「大丈夫ですか?!」
少年は、どうしていいのか解らず困惑してあたふたするばかりだった。顔らしき部分にはスモーク・シールドのかかったバイザーがあった。
≪お願・・い・・ハッチを開けて・・≫
「ハッチ?あっと・・どうすれば・・」
≪バイザーの・・、横・・の出っ張・・ガフっ・・ったスイッチを・・・≫
それらしきモノを発見する少年。
押す。
バシュっ!!!
その音とともに、冷気が排出される。それが当たり、右腕を凍傷焼けどする少年。
「痛っ!!」
少年は、そこで初めてへタレこんだ。
続く
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〜鉄〜・1
2003年7月5日黄昏の“世界”、ずっとこんな空間に存たいと少年は思っていた。
日々に感謝していたし、ずっと平和が続けばいいと思っていた。
ピーっ、ピーっ
目覚まし時計のアラームが、少年の耳に響いく。
「・ん・・」
ベッドの棚に置いてある時計に手を伸ばす少年。
時計のアラームを解除して、少年は度の少し高いメガネを掛けた。センスのいい、明るい黒の縁メガネだ。
ベットの掛け布団から脱け出して、ストライプのトランクス一丁の姿になる。
髪はショートで、寝起きでボサボサしていた。洗面台のある1階まで黒いレトロなドアを開け階段を下りてゆく。
家族は皆、もう既に出かけている。両親は父さんの会社の有休を使えとのことで、パートの母さんと一緒に湯布院辺りの温泉に旅行に行ったらしい。お金は、帰るまでの一週間分を貰った。それから妹は、感慨すべき帆鳥中学校1年の部活でいない。帰るのも遅いだろう・・・
少年は階段を下りて、洗面台へと廊下を歩く。ドアを開け、鏡の付いた洗面台へと進む。
1コインのセット・ウォーターを適当に吹いて寝癖を直す。
それからまた自分の部屋に上がってクローゼットを開ける。もう、着ないと思うと哀愁を感じる帆鳥中学の学生服。
「今からは、この服か・・」
ブレザー調の、決して地味ではないが不思議な色調をしたブルーの色合いをしている。
A.D.2057------ 日本 JAPAN・・・九州、熊本市新合併風致区[風鈴]AM7:23
登校。初日の高校への道は、近かった中学校への道のりとは違うんだな・・なんてことを思う。
ほとんどの友達や同級生は、疎開という世界へと旅立った。
「いい、風だ」
少年は、歩きながら空を見上げた。そして、一瞬顔が強張った。
その瞬間。
ウ〜−−−!!
何処からか、甲高いサイレンが鳴りはじめる。
何が起こったのか、事態を理解出来ない少年は、空を半々と覆う物体を眼にしていた。
「なんだ、あれ?」
眼の上を、高々と舞う戦闘機らしきものを見る少年・・
同刻AM:7:23 熊本、自衛隊局地局
≪F-20[サンダー・チーフ]、F-30新型複座型戦闘機[秋風]が、敵機[EJ]と哨戒空域で遭遇、交戦しています。敵機[EJ]に攻撃を仕掛けるも、汎用兵器では通用しません≫
オペレーターの声が独りの、長身のヨレヨレの軍服を着た、髪をボサボサにした不恰好な姿の男のイヤーマイクに届く。
左胸のポケットに刺繍で、“杉田”と書いてある男は、眠たそうに
「“アドバンスド・デバイス”の出撃を発令、機動型遠距離装備でだ。ヒナタはA型装備で出撃だ」
≪A型装備でですか?≫
「そうだ。地上市街戦が予想されるからな。思慮しろ。何かあれば、すぐに転進だ」
≪・・・承認完了。アドバンスド・デバイス、GOサインが出ました。各自、機動型遠距離装備、A型装備で出撃してください≫
「うわああ!!!」
少年の後方で、叫び声がこだました。
「なんだ?」
体が強張るも、振り返る少年。
そこに存たモノとは・・・・
続く